市立恵那病院での後期医師研修について     HOME


市立恵那病院での後期医師研修について 〔JADECOM-NKP〕

 平成23年6月より、市立恵那病院では後期研修医を受け入れています。ここに研修を終えた先生方から、当院での研修についての率直な感想・ご意見等を掲載することとしました。
 後期研修医とは、必須である2年間の前期研修を終了後、自ら追加で研修を希望・計画し、取り組む医師です。
 どの先生方もとてもまじめに日常診療に取り組んでいただき大変ありがたく思っています。 患者さんと向き合い、持っている健康問題について真摯に向き合うという医療のあるべき姿を、彼らは感じ取って行ってくれたのだなと思いました。 益々の発展を祈るとともに、ここでの経験がこれからの医師としての人生の礎となることを望んで止みません。 このような貴重な体験分を寄せていただいたこと、感謝するとともにお礼を述べさせていただきます。ありがとうございました。

 研修医の感想をご紹介する前に、この研修プログラムの目的(MISSION)と制度(SYSTEM)について、簡単に解説します。

プロジェクト JADECOM-NKP プログラム

http://www.tokyobay-mc.jp/user/senior/より抜粋

 この後期研修プログラムは、東京ベイ浦安市川医療センターを中心に、公益社団法人地域医療振興協会(Japan Association for. Development of Community Medicine; JADECOM ※1)と野口医学研究所との共同プロジェクトとして立ち上げられました。

※1:JADECOMは1986年に自治医科大学の卒業生を中心に誕生したへき地医療のための公益社団法人で、2012年5月1日現在全国で57施設(病院25、診療所19、老健13(単独施設4、病院との複合施設9))を運営しています。

 米国での医療実績、医学教育経験豊富な医師を多数有する野口医学研究所とタイアップして開始するプロジェクトが『JADECOM-NKPプログラム』です。 本プログラムでは医療の標準化が最終的には地域そして日本の医療レベル向上に資するとの考えから、国際標準を念頭に、 ※2 JCIやACGME(The Accreditation Council for Graduate Medical Education )取得を念頭に置いた研修プログラムです。

※2:JCIとはJoint Commission Internationalの略、母体はJCで、第三者の視点から医療機関を評価する民間団体です。1910年代に米国ハーバード大学外科医が、「自ら行っている診療行為を第三者的立場にいる別の専門医、外科の専門医に評価してもらいたい」と考えたのが誕生のきっかけと言われ、1917年から活動を開始しています。1951年にはアメリカ外科学会、内科学会、病院協会、医師会、カナダの病院協会の5つが理事者となり現在のJCの基礎ができました。患者さんの視点で、スタッフが意見交換をして合理的な対応を考える、が基本理念で、基本的な病院の在り方が問われる評価と感じました。東京ベイ浦安市川医療センターではこの考え方に賛同し、早期の取得を目指します。よろしくお願いいたします。


 


後期医師研修を終えて  ▼下記医師名をクリックしてください。各医師の研修後記へジャンプします。

濱田 治 医師    〔研修期間:平成23年8月〜9月〕

北村 浩一 医師   〔研修期間:平成23年10月〜11月〕

小谷 倫子 医師   〔研修期間:平成23年12月〜平成24年11月〕



市立恵那病院での研修後記


 新たに若手医師、あるいは再研修医師の研修後記コーナーを開きました。短期間ではありますが、当院での就労で感じたこと、勉強したことなどを書いていただきました。皆さんの素直な気持ちが書かれており我々指導する側の医師にも良い影響を与えたと思っています。

 

 今回は、JADECOM−NKPの 濱田 治 先生の研修体験記をアップしました。
以下に紹介します。


濱田 治 医師  〔研修期間:平成23年8月〜9月〕

濱田先生


東京ベイ浦安・市川医療センター
総合内科 後期研修医  濱田 治

 私は東京ベイ浦安・市川医療センター総合内科の研修の一環として、平成23年8〜9月の2ヶ月間、市立恵那病院で研修させていただきました。

 私は初期研修を約400床の市中病院で行い、卒後3年目後期研修として東京ベイ浦安・市川医療センターの総合内科コースを選択しました。4-7月は聖マリアンナ医科大学のICU-HCU、横須賀市立うわまち病院の救急診療科で研修しました。

 市立恵那病院では病棟に加え、週2-3回の外来と午後の時間外・救急担当を経験しました。今まで自分が学んだことの総力戦で挑んだ2ヶ月間でした。

 困った時にすぐ相談できる環境は整っていますが、一人で診療をし決断することは緊張感と責任感を伴います。自分ができる限界はどこまでなのか、何ができて、何ができないのか自分を見つめました。そういった環境で悩み、調べ、学んだことは自分を高めることにつながりました。また、弱点克服のため機関病院に戻った時に研鑽するモチベーションになりました。

 医療は一人で行うものではありませんが、いつも誰かが手を取って川を渡してくれるようなものではないと思います。自分で川に橋をかけ自分で向こう岸に渡らなくてはいけない時が来ます。どこで、何を学ぶかは人それぞれですが、その人が持つ、同じ場所に立つ他の誰とも違う私らしさの文脈や背景を模索するのに、地域での研修は非常に適していると感じました。

 市立恵那病院での研修の中で自分のロールモデルにしたいと憧れる人や、人間的に尊敬できる多くの魅力的な上級医、スタッフや患者さんとの出逢いがありました。あたたかく、時には厳しい家族のような病院でした。そうした人達と出逢ったり、何か思いがけない環境の中に自分を置いた時、はげしく心がたかぶりました。そうした素敵な人達の存在は周囲の人をスパークさせるように感じます。それぞれが持っている才能が爆発するための点火剤になるように感じます。

 私も今後研鑽を続け、誰かをスパークさせられるような存在となって、また育ててもらった地域の病院に勉強しに行きたいと感じます。


細江管理者
濱田先生の感想について

 ありがとうございました。濱田先生はなかなかの文才がありますね。恐れ入りました。
 そうですか、人をスパークさせられる指導医がいましたか。お世辞でも光栄に感じます。
 当院の指導医はほぼ全員、田舎での診療を経験しています。そこで得た経験や、また自分が総合診療医を目指そうと思った動機などの話が聞けたのでしょうかね。人を感動させようと思って指導している訳ではなく、日常の診療態度がそうさせているのでしょう。折れそうになる気持ちに勇気と活力がチャージ出来ました。まだまだ地域で頑張ってみようと思います。
 濱田先生また是非来てください。恵那病院はまだまだ発展途上にある病院です。新病院ができた暁には是非一緒に地域医療を展開したいですね。地域医療を効率的に行うためには総合診療医の存在、育成が重要です。研鑽を積んでください。そしてまた恵那へ来てください。一緒に働ける日を心より楽しみにしています。

市立恵那病院 管理者 細江 雅彦

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 今回は、JADECOM−NKPの 北村 浩一 先生の研修体験記をアップしました。
以下に紹介します。


北村 浩一 医師  〔研修期間:平成23年10月〜11月〕

北村先生


JADECOM-NKP 後期研修医  北村 浩一

 「是非もう一度帰ってきます。」最終日に出会った人たちに伝えた言葉です。
 すばらしい研修環境であったと強く思います。地域こそが学びの場。自分の壁を破る良い機会だと思います。そして是非、恵那病院で自分磨きと市民の笑顔を守る手助けをしましょう。
恵那病院での研修のメリットは4つあります。
 1. 判断力、責任感が身につく
 2. 消化管内視鏡検査を学ぶことができる
 3. On-offが明確
 4. 診療に集中できる環境

改善点
 1. 救急外来の物品整理(尿中薬物検査キットなどがない)
 2. 総合内科、一般外科、整形外科が主であり透析など内科専門領域に関しては学べない。
 3. Off the job trainingはない
 4. 3次救急は受け入れ不可

研修のメリットについて記します。
1.まず判断力、責任感が身につきます。毎日午後には救急車対応、また新患者外来(週2日)があります。いずれも基本的には自分1人で行うため他の医師の支援が必要なのかどうか直ちに判断しなければなりません。大病院だとついつい多くの医者がおり、1人の患者に対しても多数の意見を考慮した上で医療が展開されがちです。大多数の意見を考慮の上実施することは極めて大事なことだと思いますが、責任感また充実感が少し失われる気がするのは私だけでしょうか。
しかし、地域医療の場合、現場は私一人です。同時に多数の患者さんの状態が変化するに伴い次々と自分の判断を迫られます。相当な重圧がかかると同時に自分の現時点での限界を知ることにもなります。困ったときは良き相談相手の先生方もいますので、ある程度責任を感じつつも伸び伸びと研修できると思います。しかしこの責任感は早く身につける必要があると思います。

2.また消化器内科専門の先生方を中心として内科は構成されているため、消化管内視鏡検査を積極的に学ぶことが出来ると思います。自分の技量の程度に応じて希望する手技研修が可能かと思います。

3.仕事は明確に区切られます。完全に当直制であるため、基本的には8:00〜17:00に仕事は終わります。就業時間内にカルテ書きを含めて仕事を完全に終わらせることは大事なことだと思います。その後は近くの温泉に行くもよし、勉強するもよしです。

4.確かに田舎なのですが、極めて風光明媚な場所ですので非常に静かで勉強、臨床をとことんするにはもってこいの環境です。また、医療スタッフ(看護師、CE、MSW、薬剤師、画像検査技師等々)の方が極めて優秀でありWin-Winの関係が築けると思います。カルテは電子カルテであり非常に使い勝手が良いものです。

 恵那病院は恵那地域の最後の砦の病院となっています。確かに3次救急、またある特定に特化した医療を行うことは困難かも知れませんが、自分の力量またスタッフの先生方との相談次第ではどのような形の医療も提供することが可能になると思います。また、数年後に病院は立て変わり規模も、科も新しくなる旨聞きました。
 地域の中核病院として臨床に浸かりたい人、ともにのびのびと医療を行いましょう。
 短期間からの研修も可能とのことです。


細江管理者
北村先生の感想について

 彼が一番伝えたかったことは、
・ 「自分の患者さんに対する責任感が大病院でやっているより明らかにつく。」ことかな思いました。 プレッシャーに感じることも必要な時期があるのではないか?と言っていますね。 「確かな目的を持って研修が出来、良い動機付けだと思う。」とも言っています。
 人は、目的を持って行動した時に大変勉強になります。 勉強とは元々そういうものなのですがね。
 ある本からの引用ですが、
“その道に入らんと思ふ(う)こゝろこそ我身(わがみ)ながらの師匠なりけれ” - 千利休(利休道歌より) -
 という歌があります。 これは茶道を学ぶものの心構えを教えているものです。 学ぼうとする気持ちをしっかりと持つことこそ上達への第一歩であるとしています。 これは茶道に限らずすべての分野で言えることと思います。 志を立てて精進する所に多くの仲間を得ます。 研鑽の繰り返しですね、重要なのは。

 北村先生、病院の宣伝までしていただきありがとうございました。 是非また恵那病院へ来てください。 先生の指摘のあった点については少しずつ改善して行きます。 当院には、循環器、呼吸器の専門医も居ますのでその分野の指導もできますよ。 それに高齢者は都会でも地方でも多いのですけど、この地域で唯一の入院施設である当院が、地域の医療機関、介護関連施設との連携推進の旗ふり役も担っていますので、総合診療医がその真骨頂を発揮できる最適な位置にもありますよ。
 次は、地域へ出て行って他の医療職・介護職の方々と交わっていただきたいですね。 では、また会えることを楽しみにしています。 それまで頑張って自己研鑽に励んでください。

市立恵那病院 管理者 細江 雅彦

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 第3弾は、JADECOM−NKPの 小谷 倫子 先生の研修体験記をアップしました。
以下に紹介します。

 

小谷 倫子 医師  〔研修期間:平成23年12月〜平成24年1月〕

小谷先生


JADECOM-NKP 後期研修医  小谷 倫子

 私は2ヶ月間恵那病院で総合診療研修をさせて頂きました。
 総合診療外来に、救急外来、病棟を担当し、幅広く内科全般を見させて頂き、本当に勉強になったことばかりです。
 地域を担う病院として、患者さんからの信頼も厚く、それに答えるべくできる限り全国のスタンダード医療を提供しようと努力しました。
 自分の力不足を感じることは嫌というほどありましたが、どうにか患者さんを良くしたい、という一心で取り組みました。
 私自身は、都心部で受ける医療と地域医療とに差があってはいけないと考えています。
 本当はもっと実力をつけて、提供できればよかったのですが…、それは次回の課題にしようと思います。

 地域医療に参加して私が感じたのは患者さんとの距離が非常に近い、ということです。
 私は今までのどの病院よりも患者さんと密接に、そしてお互いの信頼関係を大事にできたのではないかと感じています。患者さんに遠慮なく話して頂ける環境を作ることも本当に大切だと実感できました。

 残念だったのは、今回の地域医療研修が2カ月と短いことです。この先もフォローしたかった患者さんが多く、また患者さんと信頼関係を築けたところで数か月で去ってしまうことは非常に残念でした。なにより、私自身も患者さんのこの先が気になってなりませんでした。

 もし、総合診療を目指される方がいらっしゃいましたら、地域医療を経験されることをお勧めします。
 非常に勉強になることは言うまでもありませんが、医者としてどのようにあるべきか、ということが論理だけではなく、経験からも感じられると思います。それがこれからの医者としての人生でどれ程大切なことなのかは計り知れないと思います。
   疾患だけを診るのではなく患者さんを、そして家族や地域性も含めた“人”として考えられる医者を目指すならば地域医療は最適なのではないでしょうか。


細江管理者
小谷先生の感想について

・患者さんに接する重要性について書いておられますね。家族や地域という面も考慮しながら診療に従事する、地域医療を実践する上で大変大事なことです。 我々は学生時代、医学を中心に学びます。そして医療ということになると、卒業後実践の中で自分で学ぶというのが慣例です。 医師というのは何でも患者の病気のことは知っている、だから治療ができる?と思いがちですが、実際は何もわかっていないのですね。 その方の生い立ちや生活環境、それと病気に対する考え方、自分としてはこうしたからこういう病気になったのだと。その考え方を否定はしてはいけません。 うまく利用することができたら良いですね。慢性疾患とのつきあい方、その方の人となりが大きく作用します。 世の中ではNarrative Based Medicineと言われていますが、小谷先生はここで肌を持って体感して行かれたのだと思います。成長したのでしょうね、山登りができる夏あたりが良いとおもいます。 また恵那へ来てください。また一緒に働ける日を楽しみにしています。

市立恵那病院 管理者 細江 雅彦

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